自作の漫画を英訳して出版する
===更新履歴===
2024/2/19 ホームページに移植
この記事の初出:2023/8/9(旧ブログ)
============
『影の国から』という自作のBL漫画を、自分で英語に翻訳し、"From the World of Shadows"というタイトルで海外向けに出版しました。
表紙はこんな感じです
…書籍自体は2023年5月末に配信開始されていたのですが、丁度その頃インフルエンザで寝込んでいまして、何か告知するということも出来ずにいました。
よって今回、AmazonkindleUnlimitedの配信開始に合わせて、したためていた記事をUPすることにしました。
というわけで今回の記事の目次はこちら。
===目次===
- 自作の漫画を翻訳する
- MantraEngineという翻訳AIソフト+DeepLで翻訳
- 自分で校正(を複数回繰り返す)
- 出版代行会社(電書バト)に出版を依頼する
- 英訳した感想
自作の漫画を翻訳する
翻訳作業はこんな感じでやりました。
①:MantraEngineという翻訳AIソフト+DeepLで翻訳
②:自分で校正(を複数回繰り返す)
①:MantraEngineという翻訳AIソフト+DeepLで翻訳
2022年4月より、pixivFANBOXで支援プランを作ると「マントラエンジン」というサービスが利用出来るようになりました。
こちらのマントラエンジンは、自作の漫画をAIがざっくり英訳してくれるサービスとなりまして、申し込みフォームから申し込むことで利用できるようになります。毎月の翻訳可能ページ数は16ページ/3,000円・32ページ/5,500円・64ページ/10,000円の3種類から選べます(2023年8月現在)。
私はまず、このマントラエンジンを使って自作の漫画『影の国から』を英訳してみました。
日本語版だと240ページくらいある作品なのですが、最初の2か月は16ページ、残り半年は32ページプランで毎月コツコツ翻訳しました。翻訳期間は2022年4月~11月です。
今回英訳した目的は、「英語圏のサイトで作品を販売したい!」というものでした。
きっかけはgoodreadsという書評サイト?日本で言うところの読書メーターやブクログのようなサイトで私の描いた『ただいま。』に☆が3つついてたことでした。
(尚、2023年8月現在では悔しいかな☆は2.5に下がっています…)
日本語でも読んでくれるなら、英語だともっと読んで貰えるのでは…??という思いで長年いたのですが、今回このマントラエンジンに出会ったことでその夢に加速度的に近づきました。
何よりも良いと思ったのが
Mantra Engineで翻訳した作品は通販サイトやDL販売サイトなどFANBOX以外での販売が可能です。 クリエイター優待退会後も翻訳作品の著作権その他一切の知的財産権はクリエイターに帰属します。
というところです。
最終的に販売が目標なので、大変助かりました。
使用した感想としては、
かなり訳の直しが必要になるので、利用者自身が英語を多少使えるのが利用前提になる
…です。
変な訳やわからない単語が出てきたら、DeepLやネットの英語辞書サイトに駆け込み修正します。
これをやらないページはほぼ無かったです。
②:自分で校正(を複数回繰り返す)
その後に暫く間を置きまして、いざ作品の出版用に体裁を整えようと原稿ファイルを開いてみたところ、フォントが間違っていることに気づきました。
モノローグ用とセリフ用でフォントを分けていたのですが、複数箇所で使い分け間違いがありました。
ですがこの間違いを見つけた時にはもう契約を解除(&FANBOXの支援プランを削除)してしまっていたので、商用可のフリーフォントを急いで探して全ページ修正することになりました。
そうしてフォントを修正しているうちに、訳なども結構間違っていたことに気づき、全ページ校正もすることに。
マントラエンジンというシステム、そして英語に慣れていない頃の作品前半によく間違いがありました。
例えば、今回翻訳した作品には「トウマ」という名前の登場人物がいるのですが、英語で書くとTOUMAになるところTOMAになってました。あとはhearingがhearlingになってたり。
一番直せて良かったな!と思ったのはshadow lockとしたかったところshadow rockになっていた所でした。影をロックしたかったのに影を岩してしまってました。意味が通じない!
そして念には念を入れて再度全ページ読み直して、また数か所修正箇所を見つけて修正して、ようやく校正完了と相成りました。
出版代行会社(電書バト)に出版を依頼する
この原稿をお願いした先は、私(高岡あまね)がいつもお世話になっている電書バト様です(以下敬称略)。
電書バトでは2023年8月現在、海外向け出版は英語版のみ受け付けています。
通常の日本語版よりも用意しなければならないファイルが多かったです。
・日本語版で用意するもの→原稿(jpgの規定サイズのもの)、書誌情報
・英語版で用意するもの→PDFファイル、ePUBファイル、書誌情報
書誌情報も日本語版とは形式が異なりました。
英語のサイトから情報を引っ張ってきてこないといけない部分もあったので、ファイルの作成含め、これらを自分で調べて作れる人向けだと思います。
出版までの期間についても違いがありました。
原稿を納品してから日本語版ですと1か月くらいで出版されるのですが、
英語版は2か月半くらいかかりました。
販売価格の設定もいつも通り自分で頭捻って考えるんですが、海外の物価感覚がマルでわからんので、今回設定した8ドル99セントがどう捉えられてるかサッパリわかりません。
英訳した感想
結果的には、マントラエンジンには翻訳のたたき台としてとりあえず翻訳してもらうという使い方になりましたが、おかげさまで翻訳のやり方に慣れまして、最終的には自力で翻訳版を作れる程度の能力が身につきました。
翻訳代として合計で4万円ほど出しましたが、有意義なお買い物だったと思います。
また、私は英検二級程度の英語力なのですが、寧ろこの程度の能力で読める英語であってくれ…!じゃないと作者である自分が読んで楽しめない…!ということで、自分で出来る範囲での英訳になりました。
ネイティブなら省略するであろうthatとかめっちゃ使ってたり、気分で言葉を略したり略さなかったりしてますし、他にも色々アラがあるとは思いますが、出来自体は満足しています。
あとは英語話者の皆様に伝わるかどうかが気になるところです。
少なくとも2冊は売れた(←2か所の書店でランキングが反映されたことからの推測)ようなのですが、それ以外の反応は今のところありません。
どちらかというと違法アップロードサイトが早速現れているのを確認して泣いています。
正規の店で買って読んでくれ~
ああ~アンリミテッド配信始まったしもっと読んで貰えたらいいな~!!
感想欲しいな~!!(2024.2.19追記:感想来てません!これからも来ることは無いかな…)
…そんな感じの英訳出版記でした。